TEDx Talksの動画より「健常者をやめる/Shedding new light on disabilities | Asaka Sekiguchi | TEDxShinshuUniversity」

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知り合いの関口さんがTEDでお話をされた様子がYoutubeに上がっていました。

TEDとは?
TED (カンファレンス) - Wikipedia
さて,関口さんは3名の困難があるお子さんにお会いしたエピソードからお話がはじまります。
お一人は不登校の子どもさん
二人目は肢体不自由と知的障害のある生徒さん
三人目は広汎性発達障害と精神障害のあるお子さん
お話の展開はすぐには三人のことについては触れず,

障害


という言葉について展開します。
障害というとそれは

できない


ということが前提となって私たちはとらえてしまう。

そこに注目すれば,もちろん確かにできないと思ってしまう。

でも

できる


に注目すると見方は変わってくる。

冒頭の写真のところで関口さんはサバン症候群の優れた能力のあるお子さんの教育にそういった力を伸ばすための教育をやっていますか?と特別支援学校の教員にインタビューをしたときに

意味がない


というこたえを複数受けたとおっしゃっています。

これはとても悲しいことですね。

教員は,学校の中で子どもたちの可能性を伸ばすことが求められているはず。

でも実際には,できないことに注目してそれを改善克服させようとしている。

でも学習指導要領に「改善克服」って書いてあるじゃないか!


という声が聞こえてきそうですね。

しかし,学習指導要領にある「改善克服」には

学習上生活上の困難を改善克服する


と書いています。

これは,本人を改善克服させるのではなく

学習上生活上の困難


なのです。
今度出した「特別支援教育とAT 第7集」の坂井さんの論説には以下の言葉が書かれています。

学習指導要領には、次のように教育目標が記載されている。
小学部及び中学部における教育については,学校教育法第72条に定める目的を実現するために,児童及び生徒の障害の状態及び特性等を十分考慮して,次に掲げる目標の達成に努めなければならない。
(中略)
3小学部及び中学部を通じ,児童及び生徒の障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服し自立を図るために必要な知識,技能,態度及び習慣を養うこと。
ここには障害を克服すると示されていない。障害による学習上の困難や生活上の困難の改善と克服が示されているのである。このようなことからも、知的障害のある児童生徒の学習上、生活上の困難を克服するためにICTの導入は必須であると考えられる。

http://magicaltoybox.org/kinta/2015/12/13/9280
つまり,障害は障害であるが故に困難さは残るのです。
よく言われることに「障害」と「病気」の違いがあります。
「病気」はその状態が治るものであり,治らないから「障害」といわれています。
だとすれば,それ自身ではなく,環境側に働きかけることが最も重要であり困難な面に注目するのでなく,得意な面を伸張することがとても重要だと思います。

関口さんはそのあとに3名のお子さんに対して

得意な面を伸ばす


というアプローチをしています。
そうすることで,困難な面が変わりはしませんが見えなくなってきます。

これについては,しましまさんが話したことを思い出しました。
人間のエネルギーというのは一定なので,たとえばその人のパワーが12個だとすると

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(ドロップスより)
12個のうちの良い行動が1個しかないとどうしても良くない行動に注目してしまう。でも良い行動を増やしていくと
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注目する面が変わってくる。
そしてそれが自信になり,また良い行動が増えてくる。
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もちろん,困難な面がすべて消えるとは思わないけど,良くない行動が出にくくなってくる。
そういったアプローチがあってもいいと思います。
関口さんが関わった三人のお子さんはそういった変化があったのだと思います。
そこに二人目のお子さんに対するタブレットPCの役割は大きかったのだろうとも思います。

話し方は,カミカミでこちらの方が緊張してしまいますが,若い教員ならではの情熱のあるとてもすてきなプレゼンです。
関口さんは明日からのATACのAcademic Dayに発表されるようですので,もしも1日目に来られる人は注目してあげてください。

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