今年の初めから年度をまたいで作成していました、教育の情報化に関する手引が公表されました。

以下、作成の主旨です
今回改訂された学習指導要領においては,初めて「情報活用能力」を学習の基盤となる資質・能力と位置付け,教科等横断的にその育成を図ることとしました。あわせて,その育成のために必要なICT環境を整え,それらを適切に活用した学習活動の充実を図ることとしており,情報教育や教科等の指導におけるICT活用など,教育の情報化に関わる内容の一層の充実が図られました。
この学習指導要領の下で,教育の情報化が一層進展するよう,教師による指導をはじめ,学校・教育委員会の具体的な取組の参考にしていただくために,新しい「教育の情報化に関する手引」を作成しました。
先日、出されたGIGA スクール構想もあり気になるところですが

特別支援教育の分野がどのようになっているかを説明します。
上記の概要図では
特別支援教育における教育の情報化
※各章において特別支援教育関係の記述をしている。
とあるように、独立した章で記述しているのではなく、各章に載せられています。
通常の教育の中に入っているという点では進んでいると考えますが、これだけ見たいという人には少し探しにくいですね。
まずは第1章から
第3節 学習指導要領における教育の情報化の位置付け
(4)特別支援学校
として13ページに
・ 小・中・高等部の「総則」において,情報活用能力の育成を図るため,「コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え,これらを適切に活用した学習活動の充実を図る」こと,また,「各種の統計資料や新聞,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること」とした。
あわせて,小学部においては「児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得する」及び「児童がプログ ラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付ける」ための学習活動を,各教科等の特質に応じて,計画的に実施することとした。
・ 知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の中学部の職業・家庭科について,職業生活でコンピュータ等の情報機器に触れることなどに関わる学習活動を通して,「コンピュータ等の情報機器の初歩的な操作の仕方を知ること」「コンピュータ等の情報機器に触れ,体験したことなどを他者に伝えること」を身に付けることができるよう指導することとした。
・ 知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の高等部の職業科について,職業生活で使われるコンピュータ等の情報機器を扱うことに関わる学習活動を通して,「情報セキュリティ及び情報モラルについて知るとともに,表現,記録,計算,通信等に係るコンピュータ等の情報機器について,その特性や機能を知り,操作の仕方が分かり,扱えること」及び「情報セキュリティ及び情報モラルを踏まえ,コンピュータ等の情報機器を扱い,収集した情報をまとめ,考えたことを発表すること」を身に付けることができるよう指導することとした。
とあります。これに続いて第4節は「特別支援教育における教育の情報化」です。
少し長くなりますが、大切な部分なので、全て引用します。
1.特別支援教育における教育の情報化の意義
(1)一人一人の教育的ニーズと必要な支援
コンピュータや情報通信ネットワークなどの ICT は,特別な支援を必要とする児童生徒に対して,その障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じて活用することにより,学習上又は生活上の困難を改善・克服させ,指導の効果を高めることができる重要な手段である。このような情報化に対応した特別支援教育を考えるに当たっては,個々の児童生徒が,学習を進める上でどのような困難があり,どのような支援を行えばその困難を軽減できるか,という視点から考えることが大切である。
(2)特別な支援を必要とする児童生徒にとっての情報教育の意義と課題
平成 25 年 6 月の国会において「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」 (いわゆる障害者差別解消法)が成立した。また,同年文部科学省の設置した「障害のある児童生徒の教材の充実に関する検討会」より「障害のある児童生徒の教材の充実について 報告」(平成25年8月28日)が出された。これらは特別な支援を必要とする児童生徒にとっての情報教育を保障するためのさまざまな条件整備の 1 つである。
「障害のある児童生徒の教材の充実について 報告」では障害のある児童生徒が使用する教材等の整備充実の重要性が指摘され,特に ICT を活用した教材や支援機器の効果的な活用が求められている。適切な教材の活用や彼らの認知特性に合った支援機器等を活用することで,学びにくさを補い,本人の力を高めるために ICT を活用することの重要性を述べている。
情報化の推進は,特別な支援を必要とする児童生徒の学習上または生活上の困難や,社会生活の範囲が限られることを補い,学校や自宅等で様々な情報を収集・共有できるという,大きな社会的意義をもっている。また,インターネットをはじめとするネットワークの世界は,参加する者の国籍,性別,障害の有無を問わない開かれた世界であり,そこに参加していくことは,障害のある人の積極的な社会参加の新たな形態の一つということもできる。また,ICT を活用することは,新たな表現手段を可能にする。例えば,海外の IT企業では障害者を雇用しているが,それは単に福祉のためだけでなく、健常者では発揮できない力を示したり,多様な感性を提案することで, 障害の無い人では気づきにくい誰にでも使いやすい製品を作ったりすることになる。 そのため,社会の情報化が進展していく中で,児童生徒が情報を主体的かつ容易に活用できるようにしたり,情報モラルを身に付けたりすることが一層重要になっている。 このような情報活用能力を育成するため,特別支援学校小学部・中学部学習指導要領 においては,「情報活用能力の育成を図るため,各学校において,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え,これらを適切に活用した学習の充実を図ること。また,各種の統計資料や新聞,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。」(第1章総則第4節の1の(3))と規定されている。これは,小・中学校における指導と同様のものであり,障害の有無に左右されるものではないため,第 4 章で示している活用例を参考に指導の工夫を行う ことが必要である。
一方,支援を必要としている人々は,その障害の状態等により情報の収集,処理, 表現及び発信などに困難を伴うことが多く,前述の情報社会の恩恵を十分に享受するためには,個々の実態に応じた情報活用能力の習得が特に求められる。こうした意味では,個々の障害の種類や程度等に対応した情報機器は,特別な支援を必要としている児童生徒の大きな助けになる。しかしながら,コンピュータをはじめとする現在の情報機器が必ずしも全ての人々に使いやすい仕様になっているわけではない。そこで, 個々の身体機能や認知機能に応じて,きめ細かな技術的支援方策(アシスティブ・テ クノロジー:Assistive Technology)を講じなければならず,そのための研究開発や,様々な事例をもとにしたカリキュラムの研究が期待される。
これに続いて、前回の手引と同様に「アシスティブ・テクノロジー」のことも書かれています。
2.アシスティブ・テクノロジーの意味
障害による物理的な操作上の困難や障壁(バリア)を,機器を工夫することによっ て支援しようという考え方が,アクセシビリティであり,それを可能とするのがアシスティブ・テクノロジーである。これは障害のために実現できなかったこと (Disability)をできるように支援する(Assist)ということであり,そのための技術 (Technology)を指している。そして,これらの技術的支援方策を充実することによ って,結果的にバリアフリーの状態を実現しようということでもある。
例えば,障害のある成人の場合は,現在使用しているあるいは使用したい機器等の利便性を高めるようアシスティブ・テクノロジーを活用する。一方,学校教育では,個々の児童生徒の成長や発達をも視野に入れて,短期的・長期的な目標を設定して指導することとなる。したがって,成人と同様に使用する機器等の利便性を高めるという視点と今後必要となる機器等の活用に関する知識,技能,態度及び習慣などを育てていくという視点も重要となる。アシスティブ・テクノロジーは,個々の児童生徒の指導目標や指導内容を記した個別の指導計画に沿って活用されることになる。そしてその目的は,単なる機能の代替にとどまらず,教科指導なども含めた様々な学習を行う上での技術的支援方策ということになる。よって,より個別性が高く,また児童生徒の成長や発達に応じて絶えずきめ細かな調整(フィッティング)が必要になる。例えば,肢体不自由のある児童生徒が車いすを使用する場合,ただ単に座れれば良いわけではなく,体の状態に応じたクッションや座面の高さなどの調整が必要となる。加えて,年齢の進行や障害の状態に応じて適宜調整をする必要がある。情報機器についても同様に,一度調整した内容がそのまま利用し続けられるわけではなく,学習内容などに応じた調整が必要となる。その際,大切なことは,本人の力で必要な技術についての知識と技能を身に付けさせることを最終的な目標に適用することが肝要である。このように,支援機器と技術は,障害のある児童生徒の教育において不可欠なものとなっている。最近は,情報機器の発達により,多様なニーズに応じた機器が開発さ れ,利用されつつある。今後はますますこうした機器による支援方策に期待が集まり, 利用も進むと考えられるが,そのためには更なる研究開発と,サポート体制の整備が 望まれる。そのためにも,児童生徒の希望を踏まえつつ,メーカーとリハビリテーション工学の専門家,地域の特別支援教育センター等の関係機関と学校,そして保護者 との連携と協力が求められる。
ここで、障害による困難さを支援する意味においてはICTの活用はとても重要だと述べていますが、そこだけでなく、特性や彼らなりの強さも伸ばすべきだと書いています。
次に第2章 情報活用能力の育成
第4節 学校における情報モラル教育には「5.特別支援教育における情報モラル教育」があります。
コンピュータや携帯情報端末の利用は,障害のある児童生徒にとって,情報保障の観点や自立した生活を行うための支援機器として有効なものとなり得る。例えば,視覚障害者が,スマートフォンを使って同時双方向的に画面を通して身の回りの様子を 遠隔地の人に見てもらい,目の前にある状況をわかりやすく説明してもらうなど,その利用の可能性は広がっている。
一方,有効となり得る情報をどのように扱えばよいかという問題も指摘されている。 例えば,自閉症がある人の中には,コンピュータ上の画面や表示によって誘導されてしまい被害者になったり,犯罪に巻き込まれ,本人が気付かないうちに加害者になっていたりするなどの場合があり、個々の障害の状況に応じて情報の提示の仕方等には配慮が必要である。情報機器の基礎的な扱いは容易になっているが,障害による特性に合わせた具体的な指導が必要であり,使い方を体験的に学ぶ機会が必要となる点に留意する必要がある。近年は SNS を活用した情報交流が盛んになっているが,それらを使ったコミュニケーションでは,コミュニケーションに困難さを示す児童生徒の 中には,十分に意思疎通がとれないために,誤解を生んでしまったりトラブルをおこ したりする可能性がある。特別支援学校等では特定の関係者のみが交流する擬似的な SNS を構築し,児童生徒同士の交流を図るなどの実践が行われている。ここでは,不適切な書き込みが拡散することなく,教師からの指導をすることが可能である。
一方,インターネット関連ビジネスに代表される近年の労働形態の変化もあり,病気や障害による運動や生活の規制がある児童生徒の就労に新たな可能性が生まれてきており,様々な就労方法が考えられる。したがって,これらに対応するための職業教育や,情報機器の扱い方等の基本的なスキルは必須のものとなりつつある。また,機器の操作技術だけではなく,商業倫理,情報セキュリティ,モラルやマナーなどの意識付けも大切である。
また,情報モラルに関する教育は学校だけで行うのではなく,保護者や地域と連携していくことが重要である。
また,情報化の進展が障害者の学習や生活に新しい可能性を切り開いている一方, 情報社会が自己の生活環境にどのような影響を与えているかを,障害者自らが理解できるようにすることも大切である。そして,携帯情報端末やコンピュータに係る様々なトラブルや犯罪を知り,自分の身を守る工夫を主体的に行うことができるようにすることも大切である。
ここでは情報保障の事についても補足説明を入れつつ記述しています。
次は第4章 教科等の指導におけるICTの活用
これでは
「第4節 特別支援教育におけるICTの活用」に30ページ弱書かれています。全てを引用できないので、タイトルと冒頭部分のみ
タイトルは
1.特別支援教育におけるICTを活用した教育の充実
(1)小・中・高等学校の学習指導要領における特別支援教育の配慮点
(2)特別支援学校における情報教育の配慮点
(3)自立活動におけるICTの活用
2.様々な学習上の困難さに応じたICTの活用
(1)発達障害のある児童生徒へのICTの活用
(2)視覚に障害のある児童生徒のICTの活用
(3)聴覚に障害のある児童生徒へのICTの活用
(4)知的障害のある児童生徒のICT活用
(5)肢体不自由のある児童生徒へのICT活用
(6)病気療養中の児童生徒へのICT活用
(7)その他,重複障害等のある児童生徒へのICT活用
「1.特別支援教育におけるICTを活用した教育の充実」として、以下の3つがあります。
(1)小・中・高等学校の学習指導要領における特別支援教育の配慮点
小・中・高等学校の学習指導要領の総則においては,特別な配慮を必要とする児童生徒への指導としてすべての学習活動において「障害のある児童(生徒)などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。」と規定されており,そのためには「情報手段や教材・教具の活用を図ること。」と述べられている。ICTの活用においても,この事項を踏まえ,指導内容や指導方法を工夫することが重要である。また,ICT の活用は,障害のある児童生徒への支援において大きな効果を発揮するものである。
小・中学校においては弱視,難聴,知的障害,肢体不自由,病弱・身体虚弱,言語 障害,自閉症・情緒障害などの特別支援学級が設置されており,これらの児童生徒に対しては,特別支援学校において活用されている ICT を一人一人の障害の状態等に応 じて活用することが大切である。その際には,指導方法や教材・教具,支援機器の活 用について支援を受けられるよう,地域の特別支援学校と連携を図ることが大切であ る。
また,小・中・高等学校における通級による指導においても ICT を有効に活用し一 人一人の障害の状態等に応じて利用することが大切である。
なお、学習者用デジタル教科書の使用については、本手引き第 7 章 2 節及び「学習 者用デジタル教科書の効果的な活用の在り方等に関するガイドライン」(平成 30 年 12 月文部科学省)を参照のこと。
(2)特別支援学校における情報教育の配慮点
特別支援学校(以下,「特別支援学校(視覚障害)」などのように表記する。)では, 各教科及び高等部に設けられた教科「情報」(知的障害者である児童生徒に対する教育 を行う特別支援学校においては,知的障害者である児童生徒のための各教科及び高等 部において,必要に応じて設けることができるとされている「情報」)を要として情報 教育を展開していくことになるが,障害による操作上の困難を補い,本来の学習内容 に集中できる環境を整えるとともに,個々の児童生徒に応じた具体的な支援を考える 必要がある。また,学習を進めるに当たって,個々の障害の状態や特性や社会経験等 を考慮して,適切な補助用具の選択,指導上の工夫が必要である。
(3)自立活動におけるICTの活用
特別支援学校には,特別に設けられた領域として,「自立活動」がある。これは,個々 の児童生徒が自立を目指して,障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・ 克服するために必要な知識,技能,態度及び習慣を養うことで,心身の調和的発達の 基盤を培おうとするものである。その内容は,1.健康の保持,2.心理的な安定,3.人間 関係の形成,4.環境の把握,5.身体の動き,6.コミュニケーションと 6 つの区分に分けられており,障害による学習上又は生活上の困難として,情報へのアクセスや活用の 困難さがあり,自立活動の内容にはそれに対応するものが含まれている。
障害による困難さから移動や人との関わりの範囲が狭くなりがちな児童生徒にとっ て,インターネット等のネットワークを介したコミュニケーションや,テレビ会議シ ステム等を介した遠隔交流は大きな意味をもっている。そうした経験の拡大が将来の 自立や社会参加に役立つと考えられることから,自立活動において情報機器の活用や 情報教育を積極的に進めることが大切である。
これに続いて各障害別に説明を入れ、執筆協力者として、この分野での先進的な方々に事例を書いてもらっています。
続いて「第5章 校務の情報化の推進」
ここでは「第4節 特別支援教育における校務の情報化」という節があります。これにはこう書かれています。
特別支援教育においては,日頃より,個々の児童生徒に応じた個別の教材を作成した り,学習の様子を記録したりする必要があるので,それらを教師間で有効に共有できるようなシステムを構築し,効率的・効果的に指導できる体制をつくることが肝要である。
また,個別の指導計画や個別の教育支援計画を作成・活用に当たっては,校内サーバ を用いた情報共有やファイル管理が重要であり,これまでの指導の状況を継時的に記録・保存し,活用する観点からも,統合型校務支援システムにおける作成が特に有効で ある。また,幼稚園・小・中・高等学校や特別支援学校と関係機関との連携においては, 通常の学級と通級指導教室などが十分に連絡を取り合い,目的や支援方策について共通 理解を持ち,役割を分担することや,特別支援学校のセンター的機能を活用することな ど,学校と関係機関との密接な連携が求められている。
この際,その基盤として,関係機関との連携を図るためのネットワークの構築も求め られるところであり,個人情報の保護や情報セキュリティの問題にも留意しながら,教 育,福祉,医療の関係機関等が安全に連携できる地域ネットワークを構築することも重 要である。また,現在導入が進む都道府県単位の統合型校務支援システムにおいて作 成・活用を行うことで,市町村や校種を超えた共有が容易になることも考えられる。
しかしながら,現状では,統合型校務支援システムにおいて,個別の指導計画や個別 の教育支援計画などの特別支援教育関係の書式の作成が行えないものがあったり,通級 指導における対象児童生徒の情報を容易に閲覧できなかったりするなどの課題が散見 され,特に小中学校の情報化において,特別支援教育分野の校務の情報化が取り残され る恐れが生じている。このような状況に陥らないよう,特に,都道府県単位の統合型校 務支援システムの導入を検討する自治体において,特別支援教育に関する機能を積極的 に盛り込んでいくことが期待されるほか,文部科学省において,統合型校務支援システ ムに特別支援教育にかかる機能が装備されるよう,個別の指導計画や個別の教育支援計 画の参考様式を示すなど,環境を整備していく必要がある。
特に、個別の指導計画や個別の教育支援計画がネットワークシステムで管理運用できるといいでしょうね。
続いて「第6章 教師に求められるICT活用指導力等の向上」これの「第1節 教師に求められるICT活用指導力等」には「3.特別支援教育におけるICT活用指導力」として
特別支援学校学習指導要領解説において「特別支援学校においては,児童生徒の学習を効果的に進めるため,児童生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じてコンピュータ等の教材・教具を創意工夫するとともに,それらを活用しやすい学習環境を整えることも大切である。」と示している。また,加えて「例えば,話し言葉や書き言葉による表現が難しかったり,辞書や辞典の活用が困難であったりする肢体 不自由の児童生徒には,視聴覚教材やコンピュータなどの教育機器を適切に利用すること,弱視の児童生徒には障害の状態に合わせて,各種の弱視レンズや拡大教材映像装置,文字を拡大するソフトウェア等を活用したり,文字や図の拡大教材や書見台を 利用したりすることなどの工夫が見られる。これらのコンピュータ等の教材・教具を有効,適切に活用するためには,教師はそれぞれの教材・教具の特性を理解し,指導の効果を高める方法について,絶えず研究するとともに,校内の ICT 環境の整備に努 め,児童生徒も教師もいつでも使えるようにしておくことが重要である。」とある。こ のように,障害による困難さに対応した指導を行うためには,様々な支援機器についての知識を高めることが重要である。そのためには,教育関係機関だけでなくリハビリテーション分野や工学分野など関 係する他分野から情報を集める必要がある。支援機器の活用については,専門的な知識を要する場合があり,個々の教師がその活用を担うのは難しい場合が多い。そこで,研修も重要であるが,支援機器の適用の ための会議や研修会を開くなど,組織的に支援機器を活用できる体制を整備することが望まれる。
また,そうした教師の ICT 活用指導力を向上させ,授業等において積極的に情報機 器を活用することを促すためにも,専任の情報担当教師の配置や,情報機器のインストラクター等によるOJT(On the Job Training:仕事の遂行を通して訓練をすること)等の研修ができる体制を整えることも重要である。
また,特別支援学校と同様に,小・中・高等学校に在籍する障害のある児童生徒の 指導に当たっても特別支援学校を参考にその専門性を高めることが重要である。
とあります。外部人材の活用についても触れています。
続いて「第7章 学校におけるICT環境整備」
これには「第1節 ICT環境整備の在り方」の中に「4.特別支援教育におけるICT環境整備」として
特別支援学校施設整備指針 では「一人一人の幼児児童生徒の障害の状態及び発達 の段階や特性等に応じた指導内容・方法が十分に展開でき,個別又は多様な集団編成 等による自立活動等の学習指導やそれらを支援する様々な教育機器等の導入などを可能とする高機能かつ多機能な施設環境を確保することが重要である。」と述べられている。特に情報環境の充実に当たっては,「児童生徒の主体的な活動及び学習を支え, 高度情報通信ネットワーク社会にふさわしい教育環境を整備するとともに,障害の特性等に応じた情報保障を図るよう計画することが重要である。このため,情報支援機器を活用するなど,児童生徒の障害の状態や特性等に配慮しつつ,校内の情報ネット ワークの整備やコンピュータ,プロジェクタ等の情報機器の導入への対応について, 適切な安全管理措置を取りつつ積極的に計画することが重要である。」と述べられてい る。
また,特別支援学校においては,児童生徒の実態や,学習場面に応じて ICT の利用 方法が異なるため,次のような独自の工夫を行う必要がある。
1 つ目は,コンピュータの選定についてである。特別支援学校においてコンピュー タを活用する場合,障害の状態等や学習内容に応じて利用場所が変わったり一斉指導のほか個別の指導を行ったりする場面もあるので,デスクトップ型,ノート型,タブ レット型のほか,モニターの大きさもいくつかそろえるなど,障害の状態等に応じた 利用が可能となるように選定する必要がある。
2 つ目は,周辺機器・ソフトウェアの整備についてである。周辺機器は児童生徒の障害の種類や程度に応じて整備する必要がある。その際,周辺機器の種類が多岐にわたるため,国立特別支援教育総合研究所に設置された特別支援教育教材ポータルサイには,学校内だけでなく,病院内の学級,分校,分教室や,訪問教育などにより教育を受ける者もいるため,様々な学習環境で教育を受ける児童生徒のネットワーク環境について,他の児童生徒と同様に教育を受けられるように配慮する必要がある。その 際には,関係機関と連携し,様々な通信方法について検討していく必要がある。
ICT 環境の整備は、様々な教育活動と関わることから,情報教育の担当者だけでなく,自立活動担当教員など全校の教師が関わりながら整備することが,有効な活用につながる。また,基礎的環境整備の観点からも,外部の専門家等の助言を活用しなが ら,学校全体で環境整備を行う体制を整えていくことが求められる。
また、特別支援学校高等部においては特別支援教育就学奨励費の学用品・通学用品購入費の補助対象として ICT 機器を購入した場合の加算額が適用されることとなっており、個別の指導計画における指導計画を踏まえつつ適切に整備することが重要である。
特別支援学校施設整備指針のことを触れています。
これについては以下に資料も出ていますので、参考にするといいですね。

また、特別支援教育とは書かれていませんがこの章には
「第2節 デジタル教科書やデジタル教材等」
があります。特別支援教育においてはデジタル教科書の導入は視覚障害をはじめとても有効なツールになります。
次に「第3節 遠隔教育の推進」には「5.特別支援教育における遠隔教育の意義」があります。
これには
平成 30 年 9 月 14 日に公表された「遠隔教育の推進に向けた施策方針」(文部科学省 遠隔教育の推進に向けたタスクフォース)において「不登校児童生徒や病気療養児など,様々な事情により通学して教育を受けることが困難な児童生徒にとって,自宅や病院等における遠隔教育は,学習機会の確保を図る観点から,重要な役割を果たす。」と示されている。また,第4章 第3節 2.(6)病気療養中の児童生徒へのICT 活用においても詳しく述べているように,様々な効果が期待できる。
また,同方針には「文部科学大臣の指定を受けた高等学校の全日制・定時制課程において,病気療養児に対し,一定の要件の下,通信制課程に準じた特別の教育課程を編成すること(面接指導時間の減免のための遠隔教育・オンデマンド型の授業を含む) により単位認定をすることができる(学校教育法施行規則第 86 条)とともに,特別 支援学校高等部の訪問教育において,一定の要件の下,遠隔教育・オンデマンド型の 授業により単位認定をすることができ(特別支援学校高等部学習指導要領),一定の要件の下,弾力的な単位認定が可能となっている。」とある。小中学校段階においては 「小・中学校段階の病気療養児に対する遠隔教育については,学習機会の確保や学習意欲の維持・向上,円滑な復学につながるなどの効果が見られているものの,受信側に当該校の当該教科の免許状を保有する教師がいない場合,現行制度においては出席と扱われず,その成果が評価に反映されないこと,また,このことが学習意欲の減退につながることなどが,学校関係者等から指摘されている。このため,受信側におい て,学校と保護者が連携・協力し,児童生徒の体調の管理や緊急時に適切な対応を行うことができる体制を整えるなどの一定の要件を満たす場合は,指導要録上出席扱い とし,学習成果を評価に反映することができるよう,措置を講じることとする。」と示された。これを受け,平成 30 年 9 月 20 日に「小・中学校等における病気療養児に対する同時双方向型授業配信を行った場合の指導要録上の出欠の取扱い等について(通 知)」が発出された。この通知により,病気により長期間欠席している小・中学校段 階の児童生徒に対して同時双方向型により授業配信を行った場合,指導要録上出席扱 いとすることができるようになった。今後もより一層,遠隔教育により教育の機会が保障され,効果的な指導を行うことが期待されている。
と書かれてます。
以上、大雑把ですが関係することを紹介しました。
また、第3章や第8章については触れていませんが、あらためて特別支援教育とはありませんが、関係することは多数あると思います。
ざっとでもいいので目を通してみてください。