
文部科学省から高等学校学習指導要領解説が公開されました。
総則から始まって特別活動編まで沢山の資料がありますので、全てに目を通したわけではありません。
しかし、今回の改訂では特別支援教育について、これまでよりも多くのページに記載されていることは保健体育科編をみただけでもよく分かります。
まずは総則の157ページ「第2節 特別な配慮を必要とする生徒への指導」より
1 障害のある生徒などへの指導
(1) 生徒の障害の状態等に応じた指導の工夫(第1章総則第5款2(1)ア)
ア 障害のある生徒などについては,特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ, 個々の生徒の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的 に行うものとする。
学校教育法第 81 条第1項では,幼稚園,小学校,中学校,高等学校等において,障 害のある生徒等に対し,障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行 うことが規定されている。また,我が国においては,「障害者の権利に関する条約」に掲げられている教育の理念の実現に向けて,一人一人の教育的ニーズに応じた多様な学びの場の整備を進めていること,高等学校等にも,障害のある生徒のみならず,教育上特別の支援を必要とする 生徒が在籍している可能性があることを前提に,全ての教職員が特別支援教育の目的や 意義について十分に理解することが不可欠である。 そこで,今回の改訂では,特別支援教育に関する教育課程編成の基本的な考え方や個に応じた指導を充実させるための教育課程実施上の留意事項などが一体的にわかるよう,学習指導要領の示し方について充実を図ることとした。 障害のある生徒などには,視覚障害,聴覚障害,知的障害,肢体不自由,病弱・身体 虚弱,言語障害,情緒障害,自閉症,LD(学習障害),ADHD(注意欠陥多動性障害) などのほか,学習面又は行動面において困難のある生徒で発達障害の可能性のある者も 含まれている。このような障害の種類や程度を的確に把握した上で,障害のある生徒な どの「困難さ」に対する「指導上の工夫の意図」を理解し,個に応じた様々な「手立て」を検討し,指導に当たっていく必要がある。また,このような考え方は学習状況の評価に当たって生徒一人一人の状況をきめ細かに見取っていく際にも参考となる。その 際に,高等学校学習指導要領解説の各教科等編のほか,文部科学省が作成する「教育支援資料」などを参考にしながら,全ての教師が障害に関する知識や配慮等についての正しい理解と認識を深め,障害のある生徒などに対する組織的な対応ができるようにしていくことが重要である。 例えば,弱視の生徒についての理科における観察・実験の指導,難聴や言語障害の生 徒についての国語科における音読の指導,芸術科における歌唱の指導,肢体不自由の生徒についての保健体育科における実技の指導や家庭科における実習の指導,病弱・身体 虚弱の生徒についての芸術科や保健体育科におけるアレルギー等に配慮した指導など, 生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等(以下「障害の状態等」という。)に 応じて個別的に特別な配慮が必要である。また,読み書きや計算などに困難がある LDの生徒についての国語科における書くことに関する指導や,数学科における計算の指導 など,教師の適切な配慮により対応することが必要である。更に,ADHD や自閉症の生徒に対して,話して伝えるだけでなく,メモや絵などを付加する指導などの配慮も必要である。 このように障害の種類や程度を十分に理解して指導方法の工夫を行うことが大切である。指導に当たっては,音声教材,デジタル教科書やデジタル教材等を含め ICT 等の 適切な活用を図ることも考えられる。 一方,障害の種類や程度によって一律に指導内容や指導方法が決まるわけではない。 特別支援教育において大切な視点は,生徒一人一人の障害の状態等により,学習上又は 生活上の困難が異なることに十分留意し,個々の生徒の障害の状態等に応じた指導内容 や指導方法の工夫を検討し,適切な指導を行うことであると言える。 そこで,校長は,特別支援教育実施の責任者として,校内委員会を設置して,特別支 援教育コーディネーターを指名し,校務分掌に明確に位置付けるなど,学校全体の特別支援教育の体制を充実させ,効果的な学校運営に努める必要がある。その際,各学校に おいて,生徒の障害の状態等に応じた指導を充実させるためには,特別支援学校等に対し専門的な助言又は援助を要請するなどして,組織的・計画的に取り組むことが重要で ある。 こうした点を踏まえ,各教科等の指導計画に基づく内容や方法を見通した上で,個に応じた指導内容や指導方法を計画的に検討し実施することが大切である。 更に,障害のある生徒などの指導に当たっては,担任を含む全ての教師間において,個々の生徒に対する配慮等の必要性を共通理解するとともに,教師間の連携に努める必 要がある。また,集団指導において,障害のある生徒など一人一人の特性等に応じた必 要な配慮等を行う際は,教師の理解の在り方や指導の姿勢が,学級内の生徒に大きく影響することに十分留意し,学級内において温かい人間関係づくりに努めながら,全ての生徒に「特別な支援の必要性」の理解を進め,互いの特徴を認め合い,支え合う関係を築いていくことが大切である。 なお,今回の改訂では,総則のほか,各教科等においても,「各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い」等に当該教科等の指導における障害のある生徒などに対する 学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的・計画 的に行うことが規定されたことに留意する必要がある。
気になるところに、アンダーラインを引いてみました。
次は保健体育編から
223ページ「 第3章 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い」の中の「第1節 指導計画作成上の配慮事項」の「3 「体育」及び「保健」」から
(2)障害のある生徒などへの指導
(6)障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指 導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
障害者の権利に関する条約に掲げられたインクルーシブ教育システムの構築を目指し, 生徒の自立と社会参加を一層推進していくためには,通常の学級,通級による指導,特別支援学級,特別支援学校において,生徒の十分な学びを確保し,一人一人の生徒の障害の 状態や発達の段階に応じた指導や支援を一層充実させていく必要がある。 通常の学級においても,発達障害を含む障害のある生徒が在籍している可能性があるこ とを前提に,全ての教科等において,一人一人の教育的ニーズに応じたきめ細かな指導や支援ができるよう,障害種別の指導の工夫のみならず,各教科等の学びの過程において考えられる困難さに対する指導の工夫の意図,手立てを明確にすることが重要である。 これを踏まえ,今回の改訂では,障害のある生徒などの指導に当たっては,個々の生徒 によって,見えにくさ,聞こえにくさ,道具の操作の困難さ,移動上の制約,健康面や安全面での制約,発音のしにくさ,心理的な不安定,人間関係形成の困難さ,読み書きや計算等の困難さ,注意の集中を持続することが苦手であることなど,学習活動を行う場合に生じる困難さが異なることに留意し,個々の生徒の困難さに応じた指導内容や指導方法を 工夫することを,各教科等において示している。その際,保健体育科の目標や内容を踏まえ,指導内容の変更や学習活動の代替を安易に指導計画作行うことがないよう留意するとともに,生徒の学習負担や心理面にも配慮する必要がある。
特に,保健体育科においては,実技を伴うことから,全ての生徒に対する健康・安全の確保に細心の配慮が必要である。そのため,生徒の障害に起因する困難さに応じて,複数教員による指導や個別指導を行うなどの配慮をすることが大切である。また,個々の生徒の困難さに応じた指導内容や指導方法については,学校や地域の実態に応じて適切に設定することが大切である。
なお,指導に当たっては,生徒の障害の種類と程度を家庭,専門医等と連絡を密にしながら的確に把握し,生徒の健康・安全の確保に十分留意するとともに,個別の課題設定をして生活上の困難を克服するために学習に配慮したり,教材,練習やゲーム及び試合や発表の仕方等を検討し,障害の有無にかかわらず,参加可能な学習の機会を設けたりするなどの生徒の実態に応じたきめ細やかな指導に配慮することが大切である。また,「保健」にそおいても,新たにストレスへの対処や心肺蘇生法などの技能の内容が示されたことから,それらの実技指導については運動に関する領域の指導と同様の配慮をすることが大切である。
指導に際しては,学校や地域の実態に応じて,次のような配慮の例が考えられる。
・見えにくさのため活動に制限がある場合には,不安を軽減したり安全に実施したりすることができるよう,活動場所や動きを事前に確認したり,仲間同士で声を掛け合う方法を事前に決めたり,音が出る用具を使用したりするなどの配慮をする。
・身体の動きに制約があり,活動に制限がある場合には,生徒の実情に応じて仲間と積極的に活動できるよう,用具やルールの変更を行ったり,それらの変更について仲間と話し合う活動を行ったり,必要に応じて補助用具の活用を図ったりするなどの配慮をする。
・リズムやタイミングに合わせて動くことや複雑な動きをすること,ボールや用具の操作等が難しい場合には,動きを理解したり,自ら積極的に動いたりすることができるよう,動きを視覚的又は言語情報に変更したり簡素化したりして提示する,動かす体の部位を意識させる,操作が易しい用具の使用や用具の大きさを工夫したりするなどの配慮をする。
・試合や記録測定,発表などの状況の変化への対応が求められる学習活動への参加が難しい場合には,生徒の実情に応じて状況の変化に対応できるようにするために,挑戦することを認め合う雰囲気づくりに配慮したり,ルールの弾力化や場面設定の簡略化を図ったりするなどの配慮をする。
・日常生活とは異なる環境での活動が難しい場合には,不安を解消できるよう,学習の順序や具体的な内容を段階的に説明するなどの配慮をする。
・対人関係への不安が強く,他者の体に直接触れることが難しい場合には,仲間とともに活動することができるよう,ロープやタオルなどの補助用具を用いるなどの配慮をする。
・自分の力をコントロールすることが難しい場合には,状況に応じて力のコントロールができるよう,力の出し方を視覚化したり,力の入れ方を数値化したりするなどの配慮をする。
・勝ち負けや記録にこだわり過ぎて,感情をコントロールすることが難しい場合には,状況に応じて感情がコントロールできるよう,事前に活動の見通しを立てたり,勝ったときや負けたとき等の感情の表し方について確認したりするなどの配慮をする。
・グループでの準備や役割分担が難しい場合には,準備の必要性やチームで果たす役割の意味について理解することができるよう,準備や役割分担の視覚的な明示や生徒の実情に応じて取り組むことができる役割から段階的に取り組ませるなどの配慮をする。
・保健の学習で,実習などの学習活動に参加することが難しい場合には,実習の手順や方法が理解できるよう,それらを視覚的に示したり,一つ一つの技能を個別に指導したりするなどの配慮をする。
なお,学校においては,こうした点を踏まえ,個別の指導計画を作成し,必要な配慮を記載し,他教科等の担任と共有したり,翌年度の担任等に引き継いだりすることが必要である。
こちらは、配慮の例示にアンダーラインを引いてみました。あまり、この例示が一人歩きをするのはどうかなと思います。全体をよく読んでから、例示を考えなければなりません。ですが、よくあるのは個別の対応はできないといって、配慮をしないのではなく、このような事も考えられるという事をアタマに入れながら、個々の事例に応じて柔軟に授業を考えるようになって欲しいと思います。
ほぼ、自分の覚書ですが・・・