ニューズウィーク日本語版の記事から考える教育での電卓利用について

ニューズウィーク日本語版のWeb記事を見ていたら興味深いものがありました。

中学以降も電卓を使わせない日本の遅れた数学教育

中学以降も電卓を使わせない日本の遅れた数学教育
<世界的には中等教育以降の数学では電卓を使用して思考や説明に重点が移っていく国が...

記事には日本とアメリカとシンガポールで小学4年生と中学2年生での授業での電卓利用についての比較が載せられています。

ニューズウィーク日本語版のWeb記事より引用 https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/12/post-13545_3.php

意外なことに日本では小学4年生だと米国やシンガポールよりも場合によって電卓を使わせているにもかかわらず、中学2年生になると使わせないという、割合は日本は小学校とそれほど変化しないにもかかわらず、シンガポールなどでは自由に使わせている率が高くなっていることです。

記事では

欧米では中等教育以降は試験でも電卓が使えるようになり、数桁の筆算を紙と鉛筆でガリガリとやる日本の生徒を見ては大いに驚く。発達段階が上がるとともに、思考や説明(表現)に重点を移していくべきだ。授業での電卓使用の国際比較から、日本はその余地が多分にあることが分かる。

とある。

また、この記事では学習指導要領についての記述もある。

小学校の学習指導要領ではこのように書かれている。

各領域の指導に当たっては,必要に応じ,そろばんや電卓,コンピュータ,情報通信ネットワークなどの情報手段を適切に活用し,学習の効果を高めること。(太文字と下線は筆者、以下同じ)

中学校の学習指導要領では

各領域の指導に当たっては,必要に応じ,そろばんや電卓,コンピュータ, 情報通信ネットワークなどの情報手段を適切に活用し,学習の効果を高めること。

まったく同じ文言です。

またそれぞれの解説では

小学校学習指導要領解説(算数編)

指導に当たっては,百分率が日常生活の中で用いられている割合の便利な表現で あることに気付くことができるように配慮する。また,実際の問題の場面などでは, 必要に応じて電卓等を用いて,適切に処理できるように配慮することも望ましい。

算数科の指導においては,コンピュータや電卓などを用いて,データなどの情報 を処理したり分類整理したり,表やグラフを用いて表現したり,図形を動的に変化 させたり,数理的な実験をしたりするなど,それらがもつ機能を効果的に活用する ことによって,数量や図形についての感覚を豊かにしたり,表現する力を高めたりするような指導の工夫が考えられる。

中学校学習指導要領解説(数学編)では

その際,電卓等を利用す ることにより,対応する x,y の値を求める計算の能率化を図ることも考えられる。

正の数の平方根の近似値は,√ キーのついた電卓を用いれば求めることができるが,正の数の平方根の意味を理解する上で,はじめに近似値を定めて,これを基に更に精度のよい近似値を求め,逐次この操作を繰り返して,近似値の精度を高め ていくことも必要である。

なお,日常の事象や社会の事象における問題を解決しようとしてつくった二次方 程式で,数値がやや複雑な場合には,必要な計算を電卓等を利用して行うことに配 慮するものとする。

① 計算機器としての活用
計算機器としてのそろばん,電卓,コンピュータなどの活用について,例えば電卓について考えると,基礎的な計算力を身に付けることは必要なことであるが,複雑な計算を伴うものについては,電卓を活用することにより,学習効果を一層高めることができる。特に,やや大きな数や小数が含まれている面積や体積を求めるなどの数値計算に関わる内容の指導,あるいは観察や操作,実験などの活動により得られた数量を処理する際に数値計算を伴う内容の指導などには,計算するために時間を多く費やすのではなく,電卓を積極的に活用し,考えたり説明したりする時間を確保することが望まれる。その際,簡単に計算結果が得られるが,結果をそのまま書き写すのではなく,求めようとしている数値のおおよその大きさと比較して確かめたり,どの程度まで詳しい数値であればよいのか考えて適切に判断したりできるよう指導する必要がある。
また,電卓の手軽さとコンピュータの簡易機能をもち合わせたグラフが表示できる電卓を活用することも考えられる。こうした電卓の機能を使うことによって,例えば,関数の学習で,表,式,グラフの関連を有機的に示したり,センサーを取り付けて動的な事象に対するデータの収集に利用したり,あるいは日常生活や社会に関わる問題解決において方程式の解を簡単に求めたりすることができる。

一部、数式記号がWebで正確に表せられないので、画像にしました。

リンクを張っていますので、詳しく知りたい人は原典をたどってください。

さて、興味深いのは中学校の解説編です。

特に「計算機器としての活用」というところでは、詳述しており「複雑な計算を伴うものについては,電卓を活用することにより,学習効果を一層高めることができる。」とある。

つまり、大切なのは

学習効果

であろう。

教育において大切にされるべきは平等性ではなく個々の子どもたちの学習活動によって学びがあるかだと思う。

自分自身は小学生の時にそろばんを習ったことが算数の学習が楽になったと感じることは多かったです。

しかし、高校生の時は計算の速さよりも思考力を問われる場面があり、苦労しました。

大学生になったらまったく計算力などでは太刀打ちできずに挫折しています。

(一応 理学士(数学)です・・・)

ですので、通り一遍に使わないとか使うとかではなく、必要に応じて臨機応変に使えることの方がいいと思います。

また、計算障害のある人の場合には特に電卓の利用はその教育活動において

学習効果

を高めるためには有効である私は思っています。

現在の大学入試センター試験ではごく一部の受験では電卓が認められていますが、それを勘違いして不正受験とされている事例があります。

http://examforcomstudent.com/center-bk/center-bk-calc/
https://www.asahi.com/articles/ASK1H6G80K1HUTIL01Q.html

しかし、学習活動において電卓を適宜使うことが指導とされているのであれば、入試で使えないというのは、課題が大きいと思います。

ちなみに、私の知っている高校生は高専の受験の際に電卓使用を認めてもらいました。

センター試験などの大規模なものだといろいろとあるでしょうが、個別の事例については少しずつではありますが、進んでいるように思います。

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