ここのところデジタル教科書の話題が盛り上がっています。
そこで3つほど話題提供を。
1つ目
一昨日はこんな会がありました。
ソフトバンクの孫さんは
「民主党の子ども手当のうち、月額280円ですべての小中学生に電子教科書を配布できる」
と言ったそうです。確かにすべての子供達に配布すればコストパフフォーマンスで安くなるかもしれないけど,それまでの教科書はどうなるのか,いろいろな会社の教科書があるんだけど,採択はどうなるのかなど話の文脈が分からないので,なんともコメントしづらいです。
ただ,1ついえるのは企業側としてはこれを大きなビジネスチャンスと捉えて,いろいろな会社が参入してきそうだとのことです。
確かに,教育は施策としても大切なんだろうけど,基本に置かないといけないのは「子どもたちにとってどうなの?」という視点ですよね。ここを大切にしないとデジタル教科書だけが一人歩きしそうで心配です。
2つ目
昨日は学校教育の情報化に関する懇談会(第8回) を傍聴してきました。
今回の議題は資料1 教育の情報化ビジョン骨子(案)についての検討でした。
いろいろな話題が出たのですが,デジタル教科書か電子教科書かといった話がありました。マスコミ的には短いほど記事が書きやすいということもあるようですが,言葉はその概念を伝えるための大事な要素となるので,定義付けは大切ですね。
ちなみに,DAISY教科書のような紙の教科書をデジタル化したものとインターネットに繋がったり,動画を再生できるなどの様々なメディアを使えるものとは違った概念で考えなければならないかもしれません。
ちなみに,今回の教育の情報化ビジョン骨子では「第四章 特別支援教育における情報通信技術の活用」として特別支援教育について独立した章を設けています。これについては議論があったようで,章にしなくてもいいのではという意見もあったようですが,その重要性から残されたそうです。
某研究所の役割についても2箇所ほど書かれているようです。
3つ目
某研究所では下記の研究が始まりました。
発達障害児等へ活用できるデ
ジタル教科書等の活用及び配信に関する基礎調査
以下は研究の概要です。
平成20年に施行された「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」によって,障害のある児童・生徒のための教科用
特定図書等の発行の促進が図られています。そして,文部科学省の調査研究「発達障害等に対応した教材等の在り方に関する調査研究事業」の中でもデジタル教
科書等の研究が進められています。また,文化庁による「著作権法一部改正(2010年1月1日施行)」により障害者のための著作物利用について,権利者に
無許諾で行える範囲が拡大され,また,障害者が必要とする幅広い方式での複製等が可能となりました。
一方,文部科学省は「学校教育の情報化に関する懇談会」において,「社会の情報化の急速な進展に伴い,ICTを最大限活用した21世紀にふさわしい学校
づくりが求められている。」として2015年までにデジタル教科書等を提供することについての検討を始めています。
そこで,本研究では
- 現在進みつつある教科書のデジタル化の国内での動向の整理
- 海外で行われているデジタル教科書等の配信システムの情報収集
- 学校現場での利用ニーズの調査
を行います。
今後国内でも障害のある児童・生徒のためのデジタル教科書等がネットワーク上で配信される可能性もあり,そのための様々な条件整備を検討する必要があり
ます。本研究ではそのための基礎資料を作成することをねらいとします。