文部科学省「小学校学習指導要領解説」「中学校学習指導要領解説」が公表されました


先日紹介していた、文部科学省の学習指導要領

こちらは、特別支援学校版ですが、先行して出していた小学校版、中学校版の学習指導要領の解説が公表されました。
小学校学習指導要領解説:文部科学省
中学校学習指導要領解説:文部科学省
中学校の方は、残念ながら全文ではなく、部分的に公表されているので、順次追加していくのでしょう。
さて、学習指導要領は、そのねらいとするものを示すものなので、具体的な指導をどのように行うかに当たっては、この解説はとても重要です。
ただし、日本人はどうしても書かれている事に縛られて、「それ以外はできない」という思い込みを持ってしまいますが、
今回の改訂では「カリキュラムマネジメント」という事を前面に出していますから、原則としつつ以下に現場の教員が創意工夫していくかが大切ではないでしょうか?
さて、私の専門領域である

特別支援教育

ICT・AT

という切り口でこの解説を見ていくと、興味深い内容がいくつか載っています。
すべてを掲載する事はできないので、ざっと見て、見つかったものだけですが
小学校の総則の104ページからは

2 特別な配慮を必要とする児童への指導
(1) 障害のある児童などへの指導
① 児童の障害の状態等に応じた指導の工夫(第1章第4の2の(1)のア)
ア 障害のある児童などについては,特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ,個々の児童の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うものとする。
学校教育法第 81 条第1項では,幼稚園,小学校,中学校,高等学校等において,障害のある児童生徒等に対し,障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うことが規定されている。
また,我が国においては,「障害者の権利に関する条約」に掲げられている教育の理念の実現に向けて,障害のある児童の就学先決定の仕組みの改正なども踏まえ,通常の学級にも,障害のある児童のみならず,教育上特別の支援を必要とする児童が在籍している可能性があることを前提に,全ての教職員が特別支援教育の目的や意義について十分に理解することが不可欠である。
そこで,今回の改訂では,特別支援教育に関する教育課程編成の基本的な考え方や個に応じた指導を充実させるための教育課程実施上の留意事項などが一体的に分かるよう,学習指導要領の示し方について充実を図ることとした。
障害のある児童などには,視覚障害,聴覚障害,知的障害,肢体不自由,病弱・身体虚弱,言語障害,情緒障害,自閉症,LD(学習障害),ADHD(注意欠陥多動性障害)などのほか,学習面又は行動面において困難のある児童で発達障害の可能性のある者も含まれている。このような障害の種類や程度を的確に把握した上で,障害のある児童などの「困難さ」に対する「指導上の工夫の意図」を理解し,個に応じた様々な「手立て」を検討し,指導に当たっていく必要がある。また,このような考え方は学習状況の評価に当たって児童一人一人の状況をきめ細かに見取っていく際にも参考となる。その際に,小学校学習指導要領解説の各教科等編のほか,文部科学省が作成する「教育支援資料」などを参考にしながら,全ての教師が障害に関する知識や配慮等についての正しい理解と認識を深め,障害のある児童などに対する組織的な対応ができるようにしていくことが重要である。
例えば,弱視の児童についての体育科におけるボール運動の指導や理科における観察・実験の指導,難聴や言語障害の児童についての国語科における音読の指導や音楽科における歌唱の指導,肢体不自由の児童についての体育科における実技の指導や家庭科における実習の指導,病弱・身体虚弱の児童についての図画工作科や体育科におけるアレルギー等に配慮した指導など,児童の障害の状態等に応じて個別的に特別な配慮が必要である。また,読み書きや計算などに困難があるLD(学習障害)の児童についての国語科における書き取りや,算数科における筆算や暗算の指導などの際に,活動の手順を示したシートを手元に配付するなどの配慮により対応することが必要である。さらに,ADHD(注意欠陥多動性障害)や自閉症の児童に対して,話して伝えるだけでなく,メモや絵などを付加する指導などの配慮も必要である。
このように障害の種類や程度を十分に理解して指導方法の工夫を行うことが大切である。
一方,障害の種類や程度によって一律に指導内容や指導方法が決まるわけではない。特別支援教育において大切な視点は,児童一人一人の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等(以下,「障害の状態等」という。)により,学習上又は生活上の困難が異なることに十分留意し,個々の児童の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を検討し,適切な指導を行うことであると言える。
そこで,校長は,特別支援教育実施の責任者として,校内委員会を設置して,特別支援教育コーディネーターを指名し,校務分掌に明確に位置付けるなど,学校全体の特別支援教育の体制を充実させ,効果的な学校運営に努める必要がある。その際,各学校において,児童の障害の状態等に応じた指導を充実させるためには,特別支援学校等に対し専門的な助言又は援助を要請するなどして,計画的,組織的に取り組むことが重要である。
こうした点を踏まえ,各教科等の指導計画に基づく内容や方法を見通した上で,個に応じた指導内容や指導方法を計画的に検討し実施することが大切である。
さらに,障害のある児童などの指導に当たっては,担任を含む全ての教師間において,個々の児童に対する配慮等の必要性を共通理解するとともに,教師間の連携に努める必要がある。また,集団指導において,障害のある児童など一人一人の特性等に応じた必要な配慮等を行う際は,教師の理解の在り方や指導の姿勢が,学級内の児童に大きく影響することに十分留意し,学級内において温かい人間関係づくりに努めながら,「特別な支援の必要性」の理解を進め,互いの特徴を認め合い,支え合う関係を築いていくことが大切である。
なお,今回の改訂では,総則のほか,各教科等においても,「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」に当該教科等の指導における障害のある児童などに対する学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うことが規定されたことに留意する必要がある。

とあります。これは、次に続くのが特別支援学級や通級指導教室の事ですので、当然通常学級に在籍する児童の事を書かれていると考えていいでしょう。
ICTなど、直接的な表現はありませんが

また,読み書きや計算などに困難があるLD(学習障害)の児童についての国語科における書き取りや,算数科における筆算や暗算の指導などの際に,活動の手順を示したシートを手元に配付するなどの配慮により対応することが必要である。さらに,ADHD(注意欠陥多動性障害)や自閉症の児童に対して,話して伝えるだけでなく,メモや絵などを付加する指導などの配慮も必要である。

といったように、言語だけに頼るのではなく、視覚的な支援も有効である事を示しているといえます。
また小学校の国語では
158ページに

○障害のある児童への配慮についての事項
(9) 障害のある児童などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
障害者の権利に関する条約に掲げられたインクルーシブ教育システムの構築を目指し,児童の自立と社会参加を一層推進していくためには,通常の学級,通級による指導,特別支援学級,特別支援学校において,児童の十分な学びを確保し,一人一人の児童の障害の状態や発達の段階に応じた指導や支援を一層充実させていく必要がある。
通常の学級においても,発達障害を含む障害のある児童が在籍している可能性があることを前提に,全ての教科等において,一人一人の教育的ニーズに応じたきめ細かな指導や支援ができるよう,障害種別の指導の工夫のみならず,各教科等の学びの過程において考えられる困難さに対する指導の工夫の意図,手立てを明確にすることが重要である。
これを踏まえ,今回の改訂では,障害のある児童などの指導に当たっては,個々の児童によって,見えにくさ,聞こえにくさ,道具の操作の困難さ,移動上の制約,健康面や安全面での制約,発音のしにくさ,心理的な不安定,人間関係形成の困難さ,読み書きや計算等の困難さ,注意の集中を持続することが苦手であることなど,学習活動を行う場合に生じる困難さが異なることに留意し,個々の児童の困難さに応じた指導内容や指導方法を工夫することを,各教科等において示している。
その際,国語科の目標や内容の趣旨,学習活動のねらいを踏まえ,学習内容の変更や学習活動の代替を安易に行うことがないよう留意するとともに,児童の学習負担や心理面にも配慮する必要がある。
例えば,国語科における配慮として,次のようなものが考えられる。
・文章を目で追いながら音読することが困難な場合には,自分がどこを読むのかが分かるように教科書の文を指等で押さえながら読むよう促すこと,行間を空けるために拡大コピーをしたものを用意すること,語のまとまりや区切りが分かるように分かち書きされたものを用意すること,読む部分だけが見える自助具(スリット等)を活用することなどの配慮をする。
・自分の立場以外の視点で考えたり他者の感情を理解したりするのが困難な場合には,児童の日常的な生活経験に関する例文を示し,行動や会話文に気持ちが込められていることに気付かせたり,気持ちの移り変わりが分かる文章の中のキーワードを示したり,気持ちの変化を図や矢印などで視覚的に分かるように示してから言葉で表現させたりするなどの配慮をする。
・声を出して発表することに困難がある場合や,人前で話すことへの不安を抱いている場合には,紙やホワイトボードに書いたものを提示したり,ICT機器を活用して発表したりするなど,多様な表現方法が選択できるように工夫し,自分の考えを表すことに対する自信がもてるような配慮をする。
なお,学校においては,こうした点を踏まえ,個別の指導計画を作成し,必要な配慮を記載し,翌年度の担任等に引き継ぐことなどが必要である。

特に、159ページの

・声を出して発表することに困難がある場合や,人前で話すことへの不安を抱いている場合には,紙やホワイトボードに書いたものを提示したり,ICT機器を活用して発表したりするなど,多様な表現方法が選択できるように工夫し,自分の考えを表すことに対する自信がもてるような配慮をする。

というのは、支援機器としてのICTの活用の例示になっていますね。
まずは、全文をダウンロードして、読み進めていきたいと思います。

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