あなたにぴったりのスイッチを作ります(マジカルトイボックス第8回イベントより)


訃報が飛び込んできました。
マジカルトイボックスのアドバイザーをしていただいている畠山卓朗さんが昨日、逝去されたとのことです。
闘病されていたのは伺っていたのですが、こんなに早く亡くなられるなんて思ってもみませんでした。
畠山さんにはこのイベントの頃から、いつもお世話になり、かつたくさんのことを教えていただきました。
また、これからもアドバイスをいただきたかったのにとても残念でなりません。
謹んでご冥福をお祈りいたします。

あなたにぴったりのスイッチを作ります(マジカルトイボックス第8回イベントより)

最後に、マジカルトイボックス20年記念誌に寄稿していただいた原稿を掲載します。

私が重い障がいがあるお子さんの玩具遊びに取り組みはじめたのは,いまから40年前(1975年)のことです.イギリスのロジャー・ジェフコート氏(Mr. Roger Jefcoate)と東京でお会いしたことに始まります.イギリスでは当時,障がいがあるお子さん達にたいするシンプル・テクノロジー利用が始まったばかりでした.彼からもらった1枚の講習会開催のお知らせに掲載されたイラストを手がかりに,台所用品のタッパウェアや写真用品のブロアーを利用しながら,玩具の改造や操作スイッチを作りました.
 一方,マジカルトイボックス(以下,マジカルと略記)と出会ったのはいまから17年間ほど前のことです.講演依頼を受けたことがきっかけのように記憶しています.この時から現在まで,ふり返ると,時の流れはあっという間に過ぎました.
今回あらためてふり返れば,あの頃と現在のマジカルは何一つ変わっていないように感じています.それはメンバーの障がいがあるお子さん達にたいするあつい情熱です.ちがっているのは,過ぎ去った歳月とともにスタッフの層があつくなったことです.シンプル・テクロノジーを大事にしようとする精神は,絶えることなく,新しいメンバーに受け継がれています.
 マジカルの取り組みにたいして「安価にスイッチや改造玩具が入手できる」という考え方に出会うことがあります.それは一面的にみるとあたっているのかも知れません.しかし,私はこれとはちがった考えをもっています.それは「製作や改造」を通して,シンプル・テクノロジーをより身近に感じる,そしてそれを必要としている子どもたちと共感するための大事なプロセスなのだということです.
 例えば,ヨーロッパで考案された支援機器を,日本の材料や技術があれば,よりスマートで安価につくれてしまうといったこと場面があります.私があえてマジカルの活動に注文を出すとしたら,オリジナルを生みだした人のことをぜひとも尊重してほしいということです.それらの人々の「産みの苦しみ」に思いを馳せてほしいと思います.ともすると,より便利に使えるだろうという考えから,オリジナルが大切にしていた工夫や配慮がすっかりとそぎ落とされてしまうといったことさえおきてしまいます.
 これからもマジカルの活動がますますひろがり,障がいがある子どもたちの世界がいきいきとなることをこころから願っています.

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コメント

  1. きんた より:

    畠山さんの葬儀の日程が決まりました。
    お知り合いの方で、情報が無い方は、メッセージにてご連絡ください。
    お伝えいたします。