文化庁は昨日の4月28日(火)から「授業目的公衆送信補償金制度」が施行されたことを告知しました。
以下、その全文の引用です。
今般の新型コロナウイルス感染症に伴う遠隔授業等のニーズに対応するため,平成30年の著作権法改正で創設された「授業目的公衆送信補償金制度」について,当初の予定を早め,令和2年4月28日から施行することとなりました(令和2年4月10日に施行期日を定める政令を閣議決定しています)。
学校の授業の過程における資料のインターネット送信については,従来は個別に権利者の許諾を得る必要がありましたが,この制度の施行により,個別の許諾を要することなく,様々な著作物をより円滑に利用できることとなります。
この制度は,学校の設置者が各分野の権利者団体で構成される「指定管理団体」に一括して補償金を支払うものですが,令和2年4月6日(月)に,指定管理団体である「一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会」において,令和2年度に限り,補償金額を特例的に無償として認可申請を行うことが決定されています。
今後,「一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会」から文化庁長官への補償金額の認可申請,文化審議会での審議,文化庁長官による認可など,必要な所要の手続を経て,令和2年4月28日から制度が施行となります。
一方で,令和3年度からの本格的な制度開始に向け,今後も,著作物の教育利用に関する関係者フォーラムにおいて運用指針(ガイドライン)の議論が継続される予定であるとともに,同協会では令和3年度分について当初の予定通り有償での認可申請を行うための準備が進められています。
一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会というのはこちらです。
このサイトのQ&Aに、以下のようなことが書かれています。
2-3 著作物を授業の目的で使うなら何の制限もなく自由に使えるのでしょうか
そうではありません。改正著作権法第35条第1項では、「その必要と認められる限度において」と規定されており、客観的に見て授業に必要な部分、部数等に限られますので、著作物の利用にあたっては注意が必要です。また、著作物の種類や用途などから見て「著作権者の利益を不当に害する」行為はこの制度の対象外ですので十分に留意してください(「著作隣接権者」についても同様です)。そのような利用は、許諾を得て利用してください。
「不当に害する」行為に該当するかどうかは、学校等の教育機関で複製(コピー)や公衆送信が行われることによって、現実に市販物の売れ行きが低下したり、将来における著作物の潜在的販路を阻害するか、という点から判断されます。例えば、運用指針では、児童・生徒の全員の購入を想定したドリルやワークブックなどの資料に掲載されている著作物を、それらが掲載されている資料の購入等の代替となる態様で複製や公衆送信することは、制度の対象外としています。
学校のウェブサイトやYouTubeなどで、誰でも見られるように公開することは、この制度の対象とはなりません。
となります。大切なのは著作権は放棄されないことと、著作権者の権利が不当に害されないことです。
教育目的として、その引用部分が必ず従になっていなければならず、映画をまるまる1本見せるなんてのは、ダメでしょうね。
文化庁のQ&Aにはこんな事が書かれています。
問6 誰もが見られるウェブサイト上に、教材や授業動画をアップロードすることはできますか。また、学校間で教材の共有をすることはできますか。
1.権利者から許諾を得ない限り、授業を受ける児童生徒等に限定して配信する必要がありますので、誰もが見られるウェブサイト上にアップロードすることはできません。なお、例えば、YouTubeを活用する場合、「非公開」や「限定公開」という設定を行うことによって受信者を限定することができます。
2.また、この制度は、あくまで個々の教員が自らの授業のために教材等を作成・配信することを認める制度ですので、学校間での教材の共有はできません。なお、この制度とは別途、権利者団体においては、学校間での教材の共有にも対応した包括的なライセンス(許諾)について検討されています。
ということです。非公開や限定公開についても書かれているので、一歩進んだ判断だといえますね。
不明な点は問い合わせてみることだと思います。