ひっそりですが要・チェック文部科学省・特別支援学校版学習指導要領解説が公開されました


特別支援学校の新しい学習指導要領についてはこちらで紹介しました。

ついに出ました、文部科学省「特別支援学校学習指導要領改定案」
こちらにあるように、文部科学省の特別支援学校の新学習指導要領改定案が公開されました。文部科学省のWebサイトを見ても、3月19日現在でトップページには案内が出ていませんがパブリックコメントのページにはしっかり掲載されています。主な改正案は上
ついに出ました「特別支援学校学習指導要領等(平成29年4月公示)」
先日紹介しました、特別支援学校の新学習指導要領案。これの正式版が、公開されましたね。移行措置があるので、すぐに切り替わるわけではありませんが、幼稚部や小学部から移行されていきますので、早く見ておかなければならないでしょう。さて、先日授業で、

さて、その解説が公開されるのを今か今かと待っていたのですが昨日ひっそりと、こちらに公開されました。

特別支援学校学習指導要領等(平成29年4月公示・平成31年2月公示):文部科学省

これからの特別支援教育を担う、皆さんには必見です。
特に、この解説には支援機器やICTに関する事例等が沢山盛り込まれています。
例えばコンピュータの活用等についてでは「各教科等編」の18ページに以下のように記述されています。

4 補助用具や補助的手段,コンピュータ等の活用(第2章第1節第1款の4の(4)
(4)児童の身体活動の制限や認知の特性,学習環境等に応じて,教材・教具 や入力支援機器等の補助用具を工夫するとともに,コンピュータ等の情報 機器などを有効に活用し,指導の効果を高めるようにすること。
身体活動が制限されている児童生徒や,高次脳機能障害や小児がんの晩期合併症などにより認知上の特性がある児童生徒の指導に当たっては,実態に応じて教材・教具や入力支援機器等の補助用具を工夫し,例えば,運動・動作の障害がある児童生徒がスイッチ視線入力装置,音声出力会話補助装置などの入出力支援機器や電動車いす等の補助用具を活用したり,本を読むことが困難な児童生徒がタブレット端末等の拡大機能や読み上げ機能を使ったりして,学習が効果的に行えるようすることが重要である。また病気のため教室に登校できない場合には, 病室内で指導する教師と教室で指導する教師とが連携を取りながら,テレビ会議システムにより病室内でも授業を受けることができるようにするなどして,学習できる機会を確保するために情報機器を活用することも大切である。 その際,タブレット端末等の情報機器を使って教室の具体物をインターネットで遠隔操作できる場面を設けるなど,療養中でも,可能な限り主体的・対話的な活動ができるよう工夫することが重要である。

ここでは、「スイッチ」「視線入力装置」「タブレット端末」「テレビ会議システム」等の具体例が目白押しです。
ここで大切なのは使うことが重要なのではなく、それを使ってどんな事をするかでしょう。最後のところに述べてある

主体的・対話的な活動

というのは新学習指導要領のキーワードです。
また、それらの活用については、14ページに個別の指導計画や個別の教育支援計画について位置づけることを示しています。

4 補助具や補助的手段,コンピュータ等の活用(第2章第1節第1款の3の(4)
(4)児童の身体の動きや意思の表出の状態等に応じて,適切な補助具や補助的手段を工夫するとともに,コンピュータ等の情報機器などを有効に活用し,指導の効果を高めるようにすること。
身体の動きや意思の表出の状態等により,歩行や筆記などが困難な児童生徒や,話し言葉が不自由な児童生徒などに対して,補助具や補助的手段を工夫するとともに,コンピュータ等の情報機器などを有効に活用して指導の効果を高めることが必要である。 ここで述べている補助具の例として,歩行の困難な児童生徒については,つえ,車いす,歩行器などが挙げられる。また,筆記等の動作が困難な児童生徒については,筆記用自助具や筆記等を代替するコンピュータ等の情報機器及び児童生徒の身体の動きの状態に対応した入出力機器,滑り止めシートなどが挙げられる。 補助的手段の例としては,身振り,コミュニケーションボードの活用などが挙げ られる。 近年の情報通信ネットワークを含めた情報機器の進歩は目覚ましく,今後さらに学習での様々な活用が想定されることから,情報機器に関する知見を広く収集し,学習への効果的な活用の仕方を工夫することが求められる。なお,補助具や補助的手段の使用は,児童生徒の身体の動きや意思の表出の状態,またそれらの改善の見通しに基づいて慎重に判断し,自立活動の指導との関連を図りながら,適切に活用することが大切である。また,補助具や補助的手段の使用が,合理的配慮として認められる場合は,そのことを個別の教育支援計画個別の指導計画に明記するなどして,適切な学習環境を保障することが求められる。

最後のところですね。再度引用します。

補助具や補助的手段の使用が,合理的配慮として認められる場合は,そのことを個別の教育支援計画や個別の指導計画に明記するなどして,適切な学習環境を保障することが求められる。

特別支援学校の学習指導要領ですが、小中学校の学習指導要領には支援の必要な子どもに対して特別支援学校の学習指導要領を参考としてその指導を行うことが示されていますので、通常の学級に在籍する児童生徒に、合理的配慮が求められるとすれば、ここの部分は同様であると考える必要があるでしょう。
この他にも、総則編の259ページからでは

(3)コンピュータ等や教材・教具の活用,コンピュータの基本的な操作や プログラミングの体験(第1章第4節の1の(3)

の解説として情報社会に生きる上での課題や、プログラミング学習、カリキュラムマネジメントとの関連、上記のような支援機器としての活用なども説明しています。
春休みで新学期を迎えるこの時期ですので、ぜひ読んでいってもらいたいと思います。
ちなみに、今後の学習指導要領のスケジュールはこちら

(引用元)http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/__icsFiles/afieldfile/2017/05/12/1384662_1_1.pdf

小学部では2年間の移行措置を受け、中学部は3年、高等部は4年後ですが移行措置というのはまだやらなくていいということではなく、今の時点で行えることは始めてもいいはずですので、これを意識して指導を考えてもらいたいと思います。
とりあえず、今日の時点はこのくらいで。

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