国がデジタル教科書使用について動き出しました。
さまざまな、法令などを整備しないと現行ではデジタル教科書が学校への導入が難しかったのですが、デジタル教科書の使用が可能となるような法律の改正が図られます。
まずはこちらから
ここにはこんな事が書かれています。
趣旨
教育の情報化に対応し、平成32年度から実施される新学習指導要領を踏まえた「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善や、障害等により教科書を使用して学習することが困難な児童生徒の学習上の支援のため、必要に応じて「デジタル教科書」を通常の紙の教科書に代えて使用することができる(併用制※ ) よう、所要の措置を講ずる。
※引き続き、紙の教科書を給付。概要
1.学校教育法の一部改正
現在、小学校、中学校、高等学校等の授業では、紙の教科書を使用しなければならない(教科書の使用義務)こととされているところ、
① 小学校、中学校、高等学校等において、検定済教科書※の内容を電磁的に記録した「デジタル教科書」がある場合には、教育課程の一部において、教科書の使用義務に関わらず、通常の紙の教科書に代えて「デジタル教科書」を使用できることとする。
ただし、視覚障害、発達障害等の事由により通常の紙の教科書を使用して学習することが困難な児童生徒に対し、文字の拡大や音声読み上げ等により、その学習上の困難の程度を低減させる必要がある場合には、教育課程の全部において、通常の紙の教科書に代えて「デジタル教科書」を使用できることとする。
② 特別支援学校や、工業高校など高等学校の専門教科等において、検定済教科書が無い場合等に使用する図書についても、①と同様に、その内容を電磁的に記録した教材を使用できることとする。2.著作権法の一部改正
○ 通常の紙の教科書と同様に、掲載された著作物を権利者の許諾を得ずに「デジタル教科書」に掲載し、必要な利用を行うことを認めるとともに、当該著作物の利用に係る補償金等の規定について整備する等の措置を講ずる。
3.文部科学省著作教科書の出版権等に関する法律の一部改正
○ 民間による教科書の発行がなく文部科学省著作教科書が発行される場合に、その「デジタル教科書」についても、文部科学省著作教科書と同様に、文部科学大臣が出版権を設定できることとする等の措置を講ずる。
施行日
平成31年4月1日
次に、これに書かれている著作権法の一部改正です
特別支援教育に関わる部分としては2つ
1つめは、前記の学校教育法の一部改正に関わる部分。
②教育の情報化に対応した権利制限規定等の整備(第35条等関係)
・ICTの活用により教育の質の向上等を図るため、学校等の授業や予習・復習用に、教師が他人の著作物を用いて作成した教材をネットワークを通じて生徒の端末に送信する行為等について、許諾なく行えるようにする。
【現 在】利用の都度、個々の権利者の許諾とライセンス料の支払が必要
【改正後】ワンストップの補償金支払のみ(権利者の許諾不要)
もう1つは肢体不自由児者に関する部分
③障害者の情報アクセス機会の充実に係る権利制限規定の整備(第37条関係)
・マラケシュ条約※の締結に向けて、現在視覚障害者等が対象となっている規定を見直し、肢体不自由等により書籍を持てない者のために録音図書の作成等を許諾なく行えるようにする。
(※)視覚障害者や判読に障害のある者の著作物の利用機会を促進するための条約
【現 在】視覚障害者や発達障害等で著作物を視覚的に認識できない者が対象
【改正後】肢体不自由等を含め、障害によって書籍を読むことが困難な者が広く対象
これらについては、新聞報道等でもいろいろと取り上げられています。
さて、前記の特別支援学校に関わるところで1点気になる事項がありました。
それは
② 特別支援学校や、工業高校など高等学校の専門教科等において、検定済教科書が無い場合等に使用する図書についても、①と同様に、その内容を電磁的に記録した教材を使用できることとする。
というところです。
多分これは、いわゆる107条本と言われる「学校教育法附則9条一般図書」のことだと思われます。
これって、探してもらうと分かるんですが、膨大にあります。
知的障害がある児童生徒は、一般の教科書での学習には困難がありますので、こうした図書が指定されています。
しかし、実情とすると、ななかなそれらを有効に活用されていない。
これが、デジタル教科書となれば音声での読み上げなど、とても役立つものになると期待できます。
しかし、そういった拡大解釈で作られたものの扱いが、雑になってしまうことで、その利用が制限されるととても困ります。
ぜひ、利用についてのガイドラインを検討してもらえればと思います。